【書評】顔ニモマケズ 水野敬也

 「人は見た目が9割」なんて本がヒットしてましたね。

 

そんな世の中の風潮に強烈なカウンターを喰らわせてるのがこの本。

 

水野敬也さんの「顔ニモマケズ」です。

 

外見にかかわる症状をもった9人の方のインタビュー形式で書かれた本。

  

見た目問題を抱えても、なお前向きに歩んでいる人の考え方には、いくつか共通点があると感じました。

 

【生きづらさを抱えていても幸せな人の共通点】

・相手や環境、症状は変えられないと割り切る

 「自分の見た目をみて相手が驚くのは自然なこと」、「症状はない方がいい、それでも自分に与えられたものと割り切っている」と淡々と語っていることに驚きました。

 見た目問題は、本人に全く原因のない問題。

 だからこそ、相手や社会のせいで不幸なんだと嘆きたくなると思うのですが、決して厳しい現実から目を背けることのない芯の強さを感じました。 

 

・自分の変えられることに目を向けて全力でやり抜く

 変えられないものがあると分かった上で、自分自身で変えられるところに努力を集中して一点突破。積極的にコミュニケーションをとるように心がける、おしゃれに気をつかう、自分の好きなことに集中する。自分の行動や考え方を変えることで、コンプレックスを軽減、もしくは自らの強みに変換させています。

 

・ハンディキャップを自分のエネルギー源にして成長する

 片目失明のハンデを抱えながらもスポーツに打ち込み、自信をつけていった姿が描かれていました。できない言い訳にもできる悩みを、高いハードルを越えようと必死で努力するモチベーションに昇華させています。

 

・自分を深く理解し、自分に合った場所・戦い方を見つける

 「自分は他人からどういう風に見られているのか?」を客観的に分析して、自分が有利になる社会での立ち位置・ポジショニングを見定めています。

就職活動において面接で全滅したものの、人柄をより重視してもらえるインターンシップに切り替え、内定を勝ち取った方もいました。

 

・一度うまく行かなくても何度も挑戦を続ける

 就職の場面では、抱えている見た目問題のせいで何度も失敗を重ねることが多いです。しかしながら、普通の人だったらあきらめてしまうだろうと思うほど何度もトライを重ねることによって、最終的な成功をつかみとっています。

 

・純粋に楽しめることを見つける

 これをしている間は悩みから解放される、というような対象をもつこと。自分自身が楽になり、新しい機会に飛び込んだり、コミュニティを広げたりと行動範囲を広げていく大事な一歩になります。

 

本を読んで感じたのは、

・内面から輝いている人は魅力的

悩みに対して徹底的に向き合い、自分なりの答えを出し続けている人の言葉はとてもかっこいい。

だれかから借りてきたようなきれいごとではなく、自分自身の経験からでてきた、その人にしか表現できない言葉だからです。

本に当事者の方の写真も多く掲載されていました。美しいか醜いかなんてどうでもよくなるほど、どの方もほんとうに素敵な顔だと感じました。

 

・生きづらさの苦しみの普遍性

この本では見た目問題が取り上げられましたが、他にも生きづらさを抱えている人たちはたくさんいます。

病気、障がい、性的マイノリティ、いじめ、貧困...。

そうでなくても自分に何らかのコンプレックスを抱えていない人なんか存在しません。

人のせいにするのではなく割り切る。自分の力で変えられる努力を続ける。

コンプレックス自体をなくそうと躍起になり苦しむのではなく、無理に受け入れもせず、否定もせず折り合いをつけながら生きていく姿勢。

あらゆる”生きづらさ”を抱えた人たちにとって、この本に出てくる人々の行動、考え方は勇気を与えるものになると感じました。

 

 

この本のメッセージは、多くの人の心に響くでしょう。

わたしにとっても大切な一冊になりました💓