【書評】世界はシステムで動く ドネラ・メドウズ

システム思考の名著、「世界はシステムで動く」

まずは、システム思考に脱帽...。

観点を持っているかいないかで世界に向ける目が全然違う。

 

システムの挙動を全体で捉えるシステム思考。

非常に強力なものごとの見方だと感じました。

 

例えば、先日トランプ大統領が宣言したパリ協定からのアメリカの離脱。違和感を感じてはいましたが、システム思考の観点でみると、いかに愚かな決断だったかよくわかります。

 

地球は全世界各国の共通の財産です。(分割できない)

そして、こわれても新しく作り直すこともできません。(再生不可能な資源)

 

地球温暖化という問題に直面している中、これに対して大気やオゾン層を国ごとに分けて所有・管理するという解決法は難しいです。

 

そんな場合の唯一の解決法は「相互の合意に基づく相互強制」を行い、合意のもとで基準を定め、お互いに守り合うように働きかけていくこと。

 

それなのに、自分の国の石炭産業の支援のために、トランプ大統領はパリ協定を離脱すると表明しました。

 

もちろん、石炭産業の労働者、石炭で栄えていた街の人々など一部の人は喜ぶでしょう。

でも石炭も有限の資源であり、今後の衰退は避けられない上に、現在の生産量を増やすことで、将来底尽きるまでのスピードも早めていることになります。

 

短期的にみれば、そりゃ石炭でお金を稼げて、労働者の働き口もあてられてトクをする。

しかし、長期的にみれば、アメリカの環境問題を深刻化させ、石炭産業の衰退までの寿命を縮めてしまう決断です。

(環境問題に関しては、アメリカ以外の国々に住むわたしたちも道連れです。)

 

本当にアメリカや世界のこれからに手を打つのであれば、石炭産業に代わる新しいエネルギー源、ビジネスを展開し、働き口をつくる方がいいでしょう。

 

部分最適のロジックばかり積み上げて、全体を見失えば破滅につながりうる。短絡的に対処法を出すのではなく、システム全体を捉えることの重要さが身にしみました。

 

パリ協定離脱の例を出しましたが、ほかにも違和感を感じていた

・農薬の量を増やし続けないと採算がとれない農業の現状

発展途上国に寄付をすればするほど依存状態に陥る国際協力のありかた

にも、どうしてシステムがうまく機能していないのか?解決するにはどうしたらいいのか?について自分なりに整理することができて、すっきりです✨

 

一日で世界への視線をがらっと変えてくれる本の力強さを感じました。

ほんまにすごい!!

ぜひ読んでほしいです🙌